製造実行システム(MES)とは
製造実行システム(MES)とは、企業の製造業務と生産の効率化を支援するソフトウェアシステムです。MESの活用により、ファクトリフロアの設備、作業場、データフローの接続、モニタ、制御が可能になります。MESは、生産ライフサイクル全体にわたり、注文から納品までの生産工程に関わるすべての機器から、リアルタイムのデータを追跡・収集してこれを実現します。
生産サイクル全体を通じて、製品・追跡・系譜、パフォーマンス、トレーサビリティ、管理、仕掛品(WIP)、その他のプラント活動に関するデータを企業に提供します。こうした情報を活用することで、意思決定者は運用の最適化に役立つ詳細な知見を得られます。
このページでは、製造実行システムについて詳しく取り上げるほか、このテクノロジがどのようにプラントの効率化を実現するかを理解できるよう、当社のWebサイトに掲載されている他の参考資料へのリンクも紹介します。
製造実行システム(MES)の機能
製造業向けエンタープライズソリューション協会(MESA)は、ITが効果的に活用されているかをモニタし、運用管理の改善を支援する組織です。MESA-11モデルは、MESに11のコア機能があることを示します。
MESA Model 1997
MESができることを正確に把握できるよう、各コア機能をもう少し詳しく説明します。
- 業務管理 – 計画された生産指示とその生産ルーティングの全体像を従業員が把握できます。
- リソースの割当て – リソースのステータスを定義・追跡するとともに、製造での使用状況を把握します。
- 差立て・製造指示 – エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)とファクトリフロア間のリアルタイムの生産データフローを管理します。
- パフォーマンス分析 – データを使用して、リワード、スクラップ、プロセス、能力、OEEなどの主要業績評価指標(KPI)を算出します。
- 保守管理 – 予防的な設備保守を正確に計画し、ダウンタイムの低減を実現します。
- プロセス管理 – プロセスルーティングと運用シーケンスを提供します。
- 品質管理 – 逸脱や例外を含め、製造プロセスと機器の品質を評価します。
- データ収集/取得 – 重要なデータを収集し、必要に応じて復旧します。
- 製品追跡・系譜 – 原材料からコンポーネント組立までの製造データを、最終部品やバッチと紐付けます。
- 作業者管理 – 人員、製品、作業を製造工程での適切な場所に配置し、効率を最大化します。
- ドキュメント管理 – オペレータが命令、図面、メモなどの重要文書に簡単にアクセスできるようにします。
2004年、MESAモデルが拡張され、事業運営が対象に追加されました。このモデルは、競争、外部委託、資産最適化を考慮したうえで、元のモデルにおける中核業務が事業運営とどのように相互作用するかを示します。この拡張版は、協調型MES(またはC-MES)と呼ばれます。この拡張は、MESを、供給に重点を置くシステム、顧客に重点を置くシステム(例:CRM)、パフォーマンスに重点を置くシステム(例:ERP、BIソフトウェア)といった他の事業運営領域と連携させることを目的として実施されました。
MESA Model 2004
2008年、このモデルはさらに拡張され、それが現行バージョンとなっています。このモデルは、企業レベルの戦略的イニシアチブ、事業運営、プラント運営、実際の生産を対象としています。製造・生産における異なるレベルや分野を結び付けることで、相互理解を促進し、パフォーマンス向上に向けた計画を支援します。
MESA Model 2008. Version 2.1
当初、システムがMESとみなされるには、モデルに含まれるすべての機能群を備えている必要がありました。この新しいモデルは、オートメーションと経営管理の間の仲介役として機能し、企業全体の情報をつなぐ統合ハブとなります。
製造実行システムのアーキテクチャ
ANSI/ISA-95は、エンタープライズシステムと制御システムの統合に関する国際規格です。ANSI/ISA-95はMESA-11モデルをPurdue参照モデルと統合し、MESの機能階層を構築しました。下のインフォグラフィックのとおり、MESはERPとプロセス制御の間に位置する中間層のレベル3に配置されています。
MESA ISA-95
Position of MES as per the ISA-95 functional hierarchy
MESは、製造業における事業計画・物流とプロセス制御システムとの間に位置する機能レイヤです。このテクノロジを通じて得られるワークフローのリアルタイムな視認性、柔軟性、洞察を活用することで、意思決定者はファクトリフロアの効率と品質を高めることができます。
また、MESは、規制対象製品関して米国食品医薬品局が定める規制要件への準拠が求められる産業でも重要となります。MESの導入でメリットを得られる産業としては、製薬、食品飲料、医療機器クラス、バイオテクノロジが挙げられます。
製造実行システム(MES)を使用するメリット
MESの導入を検討するにあたっては、MESがビジネスにもたらすメリットをすべて理解することが重要です。MESが製造効率にもたらすメリットの例を以下に紹介します。
- 顧客満足度の向上
- 規制遵守の向上
- 機械効率の向上
- サプライチェーンの可視性の向上
- 製品品質を改善
- 製造工程の完全な制御
- 市場投入までの時間短縮
- 書類作業や手作業によるデータ入力の排除
- 人件費の削減
- トレース分析の加速
- 発注リードタイムの短縮
- WIP在庫の削減
- 製造時間の短縮
これらすべてのメリットがスタッフの効率の向上、品質の向上、収益性の向上につながります。こうした3つの効果は、すべての企業が競争の激しい市場で目指すものです。また、クラウドベースのサービスなど、利用できるMESにはさまざまな種類があるため、入念に調査したうえで、どのテクノロジが自社に最適かを調べることが重要です。
MESが適している事業
製造実行システムを活用するメリットについて説明してきましたが、それが自社のビジネスに適しているかどうかをどう判断すればよいのでしょうか? MESテクノロジがファクトリフロアのワークフロー、生産性、全体的な品質の向上をもたらすことは間違いありませんが、その導入に投資が必要であることに変わりはありません。小規模な製造メーカは、自社の製造業務や収益性の規模を考慮すると、この種のソフトウェアを導入するメリットが乏しいと考えるかもしれません。製造・生産サイクルを検討したうえで、MESの導入で十分なメリットを得られるかどうかを判断する必要があります。
特定の業界においては、MESの導入によってさらなるメリットを享受できます。材料のトレーサビリティが可能になるため、厳格な規制に対する準拠が求められる製造メーカにとって、MESテクノロジは極めて有益です。例えば、食品飲料、医療機器、航空、航空宇宙、防衛産業などが該当します。これらの業界に属する企業は、MESの導入で得られる改善効果を検討することをお勧めします。
MESとERPの違い
前述のとおり、MESはERP(エンタープライズ・リソース・プランニング) と製造におけるプロセス制御システムの間に位置する不可欠なレイヤです。MESとERPはそれぞれ異なる役割を果たしますが、連携して製造プロセスの改善に貢献します。ERPは、組織内のさまざまな部門を1つの情報システムに統合します。すべてのデータをリアルタイムに入手できるようになることで、MESと同様、意思決定者は情報に基づく経営判断が可能になります。どちらのシステムも、事業主や経営陣の意思決定プロセスを簡素化し、企業の業績評価に必要なリアルタイムのデータを提供します。
MESも同様の役割を果たしますが、製造現場と、ビジネス、計画、物流システム、ERPとの間に位置するレイヤとして機能します。ERPが生産サイクルの改善の必要性を提示するのに対し、MESはその方法を導き出します。ERPとMESの連携は、運用効率の未来と考えられている第四次産業革命の基盤となるものです。両システムを組み合わせることで、企業は柔軟性を高め、変化する需要への迅速な対応が可能になります。
Plex製造実行システムテクノロジとそれがもたらすメリットについては、こちらからご確認いただけます。
製造実行システムに関する他の情報をお探しですか? 参考資料については、以下をご覧ください。
ご存じですか?
Plex製造実行システムの導入により、以下のような効果が期待できます。
- ペーパーレスで使いやすい制御盤。
- 自動タスクで人為ミスを防ぎ、生産性を向上。
- データベース主導のトレーサビリティとインライン品質の直接管理で、コンプライアンスリスクを軽減。
- トップフロアとショップフロア間のリアルタイムのデータに関する唯一の正しい情報源。
- いつでも、どこでも、ネットワークにつながるあらゆるデバイスからクラウドにアクセス可能。
- 製造ERPとの接続。
- ショップフロアのすべての活動を完全に追跡。
従来の手動システムでは、以下のことが可能です。
- 広く普及している手動プロセスへの対応。
- Excelまたは紙ベースでの、生産・スクラップデータの収集。
- ビジネスデータの遅延や誤りの把握。
- 切り離された異種のスタンドアロンアプリケーションの把握。
- プラントフロアの品質問題への対応の遅れの把握。
よくある質問
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